るりっくは、シングルの女性を支援するボランティア団体です。結婚している・していないにかかわらず、すべての女性が生きやすい社会の実現を目指し、2015年1月より島根県松江市を中心に活動しています。

 るりっくのスタッフの多くは、以前、ドメスティック・バイオレンス(DV)に悩む女性と子どものための民間シェルター活動に関わっていた者たちです(この活動は、当時松江市に公設のシェルターが存在しないということから有志によって2003年に開始され、2010年に終了しました)。

私たちは、このシェルター活動を通して、女性たちがDVによって奪われていた自由を取り戻し自立して生きていくためには、衣食住の支援だけでなく、その人自身の声を聞き、受け入れること、つまりその人の友人になるということも重要であることを強く認識するようになりました。

女性たちの生きにくさは、社会的孤立にも起因しているのです。女性たちが社会的な繋がりを回復し、社会の中で生きていく力を増大する支援が必要と感じました。

 シェルター活動を終了してからも、そのことをずっと考えていて、やがて、シングル女性のために語らいの場(交流会)をつくる活動というアイデアが浮かびました。交流会でシングル女性が自ら声を発し、それが傾聴されること、また、他の女性の声を聞く場をつくることで、社会的に孤立しがちなシングル女性のエンパワーメントに役立つのではないか、と考えたのです。

 こうして「るりっく」が立ち上がりました。るりっくではDVの有無に関係なく広くシングル女性を対象にしたのですが、それは、結婚していない女性が生きやすい状況をつくることができれば、もっと女性たちがDVから解放されると考えたからでした。


 最近の交流会では、みんなで昼食をつくって、一緒に食べ、そして語りあう、ということをしています。同伴のお子さんにも調理を手伝ってもらいます。協働することが、仲間意識や信頼関係を育みます。語りあいの時間には、子育ての悩みや親との関係など、それぞれが自由に話します。シングル女性に、他のシングル女性がアドバイスして助けるということもしばしばあります。

 交流会には、結婚している女性、結婚したことのない女性、結婚し離婚した女性、再婚した女性など、さまざまな女性が参加します。子育て中の女性も、今は子育てをしていない女性もいます。そのため、対話するなかで、相手と自分が同じであることを確認し共感することもあれば、違うことを発見し視野が広がることもあります。そうした体験を通してお互いが、元気に生きていくためのパワーを与え合っています。

 そして、そこで聞いた声を行政や一般の人びとに伝え、シングル女性が生きやすい社会のために役立てるということも、るりっくの重要な活動だと考えています。母子福祉などを担当する行政の職員と話をしたり、市にシングル女性支援の要望書を提出したり、一般市民を対象とした研修会などで講演したりすることを通して、シングル女性にとってやさしい社会づくりを進めていきたいと思っています。

 なにぶん手弁当で活動しているため、盛大には活動できていませんが、参加するシングル女性の数は徐々に増えています。これからも女性のエンパワーメントのために活動したいと考えています。

★「るりっく」という団体名について

 東ティモールの人びとが信じる「ルリック」という神聖な力にちなんでいます。「地上のものはすべて繋がっている、だからすべてを受け入れることができる」という、不思議な力に魅力を感じ、この名前を選びました。

活動を通して、どの人も一人ではない、どの人も大事、という価値を広めようという思いが込められています。